塾長の独り言

夢と希望と愛情

平成22年6月14日
地球と同じように太陽を周回している小惑星(地球と火星の間に存在する全長640mの星)「イトカワ」の砂の採取に挑んだ探査機「はやぶさ」が7年振りに地球に帰還した。
月より遠い天体に着陸し、地球に戻ってきたのは史上初という。
平成15年5月に打ち上げられ、実に旅の総距離は月への往復の8000回に相当し、約60億キロと気も遠くなる規模である。

この間、「イトカワ」に着陸直後に燃料漏れ・地球との通信不良による行方不明、そして昨年は主エンジンの故障が発生したそうだが、地上のプロジェクトチームは、その度に知恵と勇気でトラブルを克服し、まさに世界初の偉業を成し遂げた。

「はやぶさ」は、6月13日の深夜に採取したであろう「イトカワ」の砂が入ったカプセルを機体から切り離し大気圏で燃え尽きた。
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7年間の長旅の中、多くの困難なトラブルを乗り越え、地上の命令をけなげにこなし、身をていしてカプセルを地上に届け、そして自らは燃え尽きて宇宙の藻屑と消えていった。
・・・物理的な機械物に、こんなにも愛おしい感情が湧いてくるのは何故だろう。決して平坦ではなかったこれまで生きてきた自分の人生と、そしてこれからの人生に、何か似たようなものを感じるからではないのか。


そして又、このような夢への挑戦がもっともっとこの世の中には必要な気がする。
・・・そうでなければ、あまりにもこの世の中殺伐すぎはしないか。
「はやぶさ」から自信と希望をもらったプロジェクトチームはこれからどこに向かっていくのだろう。「将来につながるミッションが無ければ、ここから技術の離散と風化が始まる」と私も思う。
「一番でなく、二番でいい」と仕分けられたらさびしい。
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夢と希望とそして愛情に溢れた世の中であって欲しい。