塾長の独り言 -
田んぼの麦に想う

平成27年5月25日
田舎の田んぼの中の道を車で走っていた。見渡す限り麦の田んぼだ。昔は、農家は米と麦で生計を立てていたので、今頃になると田んぼは麦ばかりだった。でも最近では、この時期麦の田んぼを見ることはあまりなかった。刈り取られた田んぼもあるが、まだそうでない田んぼが圧倒的に多い。まだ梅雨入りは先の風が麦の穂を波打たせている。
車を路端に止めて外に出た。風が体全体を通り抜けて気持ちいい。土の匂いまで運んできているようだ。
小学校に入る前か、入った後かははっきりしないが、刈り取られた後の麦の茎を穴に通し小さい籠をよく作ったものだ。
ひとまわりひとまわりづつ出来ていく籠をみながら、女の子も籠を黙って作っている。二人とも出来上がった籠を持って、野イチゴのあるところまで手をつないで走った。野イチゴは甘かった。摘んだ野イチゴは小さい籠からこぼれそうだ。
いつの間にか、西の空は夕焼けに染まっていた。
『大人になったら、結婚しようね』・・女の子は恥ずかしそうに帰る家の方に走って行った。
なにか言うのも間にあわなかったが、女の子と二人の秘密がひとつできたと嬉しかった。
その同級生の女の子は、二十歳ちょっとで故郷の町はずれのうどん屋さんに嫁いだ。
今では、もう引退して孫の面倒でもみていることだろう。
真っ赤な大きな太陽が沈みかけている。一日の疲れを癒すように穏やかだ。
これからも、みんな幸せでありますように。