塾長の独り言 -
秋の浅草寺

平成28年11月10日
今日は、季節が勘違いしているように暖かい。
しかし、確実に晩秋だ。歩く足元は、真っ赤なもみじや黄色い銀杏の落ち葉の絨毯(じゅうたん)。
手が触れるか触れないかの距離で、申し合わせたようにゆっくりな速さで参道を進む。
何の会話も無いが、二人が同じことを考えているのが想像できる。
それぞれの財布から、小銭を出してお参りをした。
頭を上げても、まだ彼女は手を合わせて頭を下げていた。
家族の無事か、子供の将来か、それとも今日のこの行動を詫びているのだろうか。
来た同じ道を帰る。時間が経ったのか、廻りも薄暗く先程よりちょっと冷えてきたようだ。
参道をでて、コーヒーを飲もうかと永い沈黙の後に聞いた。うんと消え入るような返事。
歩いていると、昔風の喫茶店の看板が目に入った。矢印で場所は2階だとわかる。
店に入ると、店員は大きな挨拶も無いが、優しそうでほんのりした女の人だ。
窓側のテーブルに座った。客は自分たちだけ、ゆっくり出来そうな雰囲気だ。
床も古傷が一杯残ってはいるが、清潔に手入れされているのがわかる。コーヒーを注文した。
彼女は、砂糖は一個でいいの?と聞きながら、応える前にカップに入れていた。
店の中でも、ほとんど会話は無かった。
私はまだ仕事が合ったので、店の前で別れることにした。
又、次は、いつ逢えるのかわからないけど、連絡するから逢おうねと言うことだけは約束した。
今わかれたばかりなのに、又、すぐ逢いたくなる。胸が締め付けられるように痛い。
お互い、いつまでも元気でいようね。