塾長の独り言

一期一会の思い


平成29年4月20日

仲間から去っていく人 新しく仲間に入ってくる人
人生は多くの人との別れと出会いの繰り返しです

人は人との出会いの度に何かを学び 一段一段と成長して
いくのだとしたら これまで縁あってめぐり会えた人に感謝の気持ちで一杯です

街角で会話しただけのひと時の出会いから お見合いで人生の伴侶になった長い付き合いまで
人とのかかわり合いには偶然の一言では言い表せない不思議なものを感じます

全て『一期一会』なのです

あなたの今はみんなから支えられ 
あなたもみんなにささやかでも希望を与えているのです

出会えたことに感謝し 巡り会えた人の幸せを心から願って止まない
そんな人になりたい


秋の浅草寺

平成28年11月10日

今日は、季節が勘違いしているように暖かい。
しかし、確実に晩秋だ。歩く足元は、真っ赤なもみじや黄色い銀杏の落ち葉の絨毯(じゅうたん)。
手が触れるか触れないかの距離で、申し合わせたようにゆっくりな速さで参道を進む。
何の会話も無いが、二人が同じことを考えているのが想像できる。
それぞれの財布から、小銭を出してお参りをした。
頭を上げても、まだ彼女は手を合わせて頭を下げていた。
家族の無事か、子供の将来か、それとも今日のこの行動を詫びているのだろうか。

来た同じ道を帰る。時間が経ったのか、廻りも薄暗く先程よりちょっと冷えてきたようだ。
参道をでて、コーヒーを飲もうかと永い沈黙の後に聞いた。うんと消え入るような返事。
歩いていると、昔風の喫茶店の看板が目に入った。矢印で場所は2階だとわかる。
店に入ると、店員は大きな挨拶も無いが、優しそうでほんのりした女の人だ。
窓側のテーブルに座った。客は自分たちだけ、ゆっくり出来そうな雰囲気だ。
床も古傷が一杯残ってはいるが、清潔に手入れされているのがわかる。コーヒーを注文した。
彼女は、砂糖は一個でいいの?と聞きながら、応える前にカップに入れていた。

店の中でも、ほとんど会話は無かった。
私はまだ仕事が合ったので、店の前で別れることにした。
又、次は、いつ逢えるのかわからないけど、連絡するから逢おうねと言うことだけは約束した。

今わかれたばかりなのに、又、すぐ逢いたくなる。胸が締め付けられるように痛い。
お互い、いつまでも元気でいようね。







朝は夜の次にやってくる

平成28年7月12日

『今は、どん底だ。何をやってもうまくいかない』
こんなことを感じている人はいませんか
やる事なすことが、裏目うらめに出てしまう事はありませんか。
どうすれば、そのスランプを乗り越える事ができるのでしょう。
 
そんな時はあせらない事です。
悠然と構えるのです。

朝太陽が出て夕方陽が暮れて夜になるように、人生にも朝があれば夜もあります。
でも、夜がいつまでも続く事はありません。夜の次は必ず朝なのです。

ますます調子が悪くなってきたと感じたら、夜明け前だという事です。
夜明け前が一番暗いのです。
まもなく、梅雨明けの眩しい程の夜明けがはじまるのです。


深秋の夕陽

平成27年10月26日

日中は、陽の当たる場所はちょっと汗ばむが、夕方になると、一枚着ないと寒いくらいだ。
数日好天が続き大気に塵が多いせいか、茜色の空の夕日が真っ赤で普段より大きく見える。
日中の太陽では気づくこともないが、まさに沈もうとする夕陽は予想以上に速く地平線の下に消えていく。
地球はこんなにも速く回転しているのだと驚きだ。
   ・・・・・
   ・・・・・
少し肌寒くなってきた。自分の着ていた薄いブレーカーをそっと肩からかけてやった。
彼女は黙ったままだが、寒かったのだろう、掛けたブレーカーの両側を掴んで胸元まで巻きつけた。
時折、周りの空気を乱し、冷たい風が二人をせかすように吹き抜けていく。
まもなく、外灯ひとつ無い海辺の堤防は真っ暗だ。
ながい沈黙のままだが、お互いが何を考えているのかは手に取るように理解できる。
あなたには、私よりもっとあなたにふさわしい人がいる筈よ。私はあなたを駄目にするわ。
彼女はポツリとつぶやくように言った。
二人が一緒になるには、彼女の身の上にある余りにも多くの困難もこれまで十分聞かされて知っていた。
だからこそ、二人なら乗り越えていけると思っていた。
随分時間が経ってから、これで別れることにするという事なのかと彼女の顔を見た。
黙ってうなづく彼女の頬をつたう二筋の涙が愛おしかった。
   ・・・・・
   ・・・・・
あなたも、あなたにふさわしい人にめぐり合え、穏やかな毎日がつづいているだろうか。
この次期、青春の甘酸っぱい思い出が昨日のように思い出される。
沈んでいく真っ赤な夕陽を眺め、もう逢えないあなたの幸せを心から祈っています。


田んぼの麦に想う

平成27年5月25日

田舎の田んぼの中の道を車で走っていた。見渡す限り麦の田んぼだ。昔は、農家は米と麦で生計を立てていたので、今頃になると田んぼは麦ばかりだった。でも最近では、この時期麦の田んぼを見ることはあまりなかった。刈り取られた田んぼもあるが、まだそうでない田んぼが圧倒的に多い。まだ梅雨入りは先の風が麦の穂を波打たせている。
車を路端に止めて外に出た。風が体全体を通り抜けて気持ちいい。土の匂いまで運んできているようだ。

小学校に入る前か、入った後かははっきりしないが、刈り取られた後の麦の茎を穴に通し小さい籠をよく作ったものだ。
ひとまわりひとまわりづつ出来ていく籠をみながら、女の子も籠を黙って作っている。二人とも出来上がった籠を持って、野イチゴのあるところまで手をつないで走った。野イチゴは甘かった。摘んだ野イチゴは小さい籠からこぼれそうだ。
いつの間にか、西の空は夕焼けに染まっていた。
『大人になったら、結婚しようね』・・女の子は恥ずかしそうに帰る家の方に走って行った。
なにか言うのも間にあわなかったが、女の子と二人の秘密がひとつできたと嬉しかった。

その同級生の女の子は、二十歳ちょっとで故郷の町はずれのうどん屋さんに嫁いだ。
今では、もう引退して孫の面倒でもみていることだろう。

真っ赤な大きな太陽が沈みかけている。一日の疲れを癒すように穏やかだ。
これからも、みんな幸せでありますように。